冤罪で逮捕された場合には「嫌疑なし」「嫌疑不十分」を目指すことになります。

不起訴を勝ち取るには

不起訴処分を勝ち取る為にはどうすれば良いのでしょうか。

まず、不起訴処分の中身には次の3種類があります。

①嫌疑なし
疑わしいことがないとき。
つまり痴漢行為をしていないと無実が証明されたときです。
②嫌疑不十分
罪を認定する証拠が足りないとき。
痴漢行為をしたかどうか不確かでグレーではあるものの、裁判にかけても有罪にできるだけの証拠がないと検察官が判断したときです。
③起訴猶予
検察官がこの事件を刑事裁判にかけないと決めることです。
深く反省していること、軽度の犯罪であること、初犯であること、示談が成立していることなどが起訴猶予の判断材料になります。

冤罪で逮捕された場合と、実際に痴漢行為を行なった場合とでは対応が異なります。

冤罪で逮捕された場合には、①か②を目指すことになります。

まず、本人は「痴漢行為をしていない」ことを揺るぎなく主張し続ける必要があります。

「痴漢行為を認めれば数十万円の示談金や罰金で済み、すぐに釈放される」という背景があるため、早く解放されたいためにやってもいない痴漢行為を認めてしまう方もいますが、一度痴漢行為を自白してしまうと、後から覆すことは非常に困難です。

拘留中の取り調べは精神的負担が大きいものですが、専門家に依頼してサポートを受け、無実を主張し続けることが大切です。

依頼を受けた専門家は、本人のサポートをするとともに検察官に不起訴処分への働きかけを行ないます。

本人が痴漢行為をしていないことを裏付ける証拠を集めるのですが、これは「やっていないことを証明する」俗にいう「悪魔の証明」で簡単にはいきません。

痴漢行為の場合には被害者の証言がまず大きな証拠になるので、被害者の証言の曖昧な点をついたり、車内は非常に混雑していて人違いの可能性があることを主張したりと、被害者の証言を覆す材料を積み重ねていきます

実際に痴漢行為を行なって逮捕された場合には、③を目指します。

起訴までに被害者と示談を成立させることが、起訴猶予という不起訴処分を勝ち取る一番の近道です。

強制わいせつ罪は親告罪ですので、示談が成立して被害者が告訴を取り下げれは起訴されることはありません。
迷惑防止条例違反の場合にも、示談が成立すれが不起訴になる可能性が高くなります。

日本の刑事裁判における起訴後の有罪率は99%です。
これは警察が優秀だからではなく、検察官が確実に有罪に出来ると判断したものだけを起訴する為です。起訴後に無罪を勝ち取るのは非常に困難です。

一方、痴漢で逮捕された方の起訴率は50%以下です。
半数以上の方が何らかの形で不起訴を勝ち取っていることになります。

不起訴処分になれば、釈放されて前科もつきません。
前科を付けないようにするためには裁判で無罪を争うよりも、不起訴処分を目指すことが重要です。