自首する場合の注意点
まず、法律用語の「自首」とは「犯人が特定できていない段階で、自ら捜査機関に名乗り出て罪の処分を求めること」です。
「犯人がわかっている状態で自ら捜査機関に出向くこと」は「出頭」と言います。

自首も出頭も自主的に警察等の捜査機関に出向くことに変わりはありません。
しかし「自首したときは、その罪を減軽することができる」と刑法に定められています。
特に痴漢事件の場合には、自首すると身柄拘束されず在宅事件として扱われるケースが多く見られます。
これは自首という行為から逃亡や証拠隠滅の可能性が低いと推測できるためです。
また、自首は反省を示すひとつの方法でもあるので、不起訴処分や執行猶予を決める判断材料になります。
出頭の場合には、罪の減軽についての定めはありません。
しかし、反省の態度を示せることと逃亡証拠隠滅の可能性が低いことを検察官にアピールできる点では同じです。
逃走して逮捕を免れたとしても、落ち着かない日々を過ごすことになるでしょう。
強制わいせつ罪の時効は7年、迷惑行為防止条例違反の時効は3年です。
つまり最低でも3年間、悪質な痴漢行為であれば7年間は身元や居場所を特定されて逮捕される可能性があります。
逮捕は事前の連絡なく突然行われます。
それは家族の前かもしれませんし、職場かもしれません。
後悔にとらわれながらビクビクした毎日を送るよりは、自首して罪を償おうと考える方はたくさん居られます。
しかし、自首にもリスクはあります。
罪を認めても被害者の供述と食い違いがあれば、長期の身柄拘束が行われる可能性があります。
慣れない取り調べで検察官のペースに巻き込まれ、犯した罪以上のことを自白してしまうこともあります。
また、自首しても被害者と示談交渉をして不起訴処分を目指すことに変わりありません。
自首を考えているならば、まずは専門家に相談するのが得策です。
専門家が詳しく事案を聞いた上で、自首するべきかどうかからアドバイスをしてくれます。
もちろん守秘義務がありますので、相談内容が他に漏れることはありません。
自首することが決まった場合には、一緒に捜査機関に出向き取り調べに立ち会ってもらうことも可能です。
「痴漢で捕まったらまず逃げろ。逃げてから弁護士と一緒に自首しろ。」と提言する専門家もいるほどです。
痴漢事件の場合には、専門家に依頼するスピードがその後の明暗を分けます。
自首の場合には逮捕前から専門家のアドバイスを受け、最初から二人三脚で逮捕拘留に備えられるメリットがあります。