民事裁判で損害賠償請求を行い、刑事裁判で相手を罰してもらう方法があります。

冤罪の場合の法的復讐

痴漢冤罪で逮捕された場合には、泣き寝入りするのではなく、相手に対して法的に報復措置を取ることができます。
汚された名誉と損害を取り戻すために、徹底した報復をお奨めします。

民事裁判で損害賠償を請求する。

相手に損害賠償や謝罪を求める為に裁判を起こします。
専門家に依頼する場合には、裁判を起こすことを前提にして任意交渉(示談交渉)から始めることも可能です。

①民法上の名誉毀損(民法723条)

刑法だけでなく民法にも名誉毀損の条文が存在します。

損害賠償とともに「名誉を回復するのに適当な処分」を命ずることができます。
一般的には「謝罪広告」がこれにあたります。

インターネット上で言いふらされた場合には、同じ媒体での謝罪や訂正を求めても良いでしょう。

②不法行為(民法709条)

故意又は過失によって他人に損害を与えた損害を賠償する責任を負う、という内容の条文です。

名誉毀損に当たらない(痴漢で逮捕されたことが広まっていない)場合でも、不法行為として損害賠償を請求することができます。

長期拘束されたことにより減少した収入の補填はもちろん、冤罪逮捕による精神的苦痛に対する損害賠償も相手に求めることが出来ます。

痴漢冤罪事件に巻き込まれて無実が証明された後には、相手方に損害賠償を求めるのが一般的です。

刑事裁判で裁いてもらう為に告訴する。

民事裁判とは別に、刑事裁判で相手を裁いてもらうという方法もあります。

ただし、刑事裁判で実際に裁いてもらう為には、刑事罰に相当する罪を犯した事実が必要です。
考えられる罪状はいくつかあります。

①名誉毀損罪(刑法230条1項)

よく耳にする「名誉毀損で訴えてやる。」というものです。

名誉毀損は3年以下の懲役になる可能性もある重い罪です。

「痴漢をした」という間違った事実が広まり、社会的評価(名誉)を低下させる状態になった時に適応されます。

インターネット等で名前を挙げて言いふらした場合はもちろんですが、周囲に人のいる場所で「痴漢だ。」と騒ぎ立てた場合にも、名誉毀損罪が成立する可能性があります。

②侮辱罪(刑法231条)

名誉毀損罪とよく似ていますが、違いは「事実を指摘したか否か」です。

「痴漢をした」という事実は口に出さず、「人として最低だ。」「土下座して謝れ。」など、公衆の面前で侮辱した場合に適応が考えられます。

③脅迫罪(刑法222条)

相手から「会社や家族に知らされたくなかったら金を支払え。」などと脅された場合はもちろん、「これだけ払えば告訴を取り下げる。」などと示談を持ちかけれた場合にも適応は考えられます。

被害者の虚言による痴漢冤罪事件で示談金を要求されたような場合には、脅迫罪で訴えるといいでしょう

④虚偽告訴罪(刑法172条)

人違いによる場合に虚偽告訴罪が適応されることはまずありません。
被害者の虚言による痴漢冤罪事件の場合に当てはまります。

刑事裁判を視野に入れるのは、次のような場合が考えられます。

  • ①被害者の虚言による冤罪事件の場合
  • ②多額の示談金を要求された場合
  • ③痴漢事件が広く世間に知られ、社会的信用を失った場合

なお刑事裁判で相手が裁かれても、冤罪事件によって受けた被害が賠償される訳ではありません。

民事裁判と刑事裁判は別個の手続きです。
どちらかひとつを選択するのではなく、2つを並行して行なうことができます。

単純に言うと、民事裁判で損害賠償請求を行い、刑事裁判で相手を罰してもらうことになります。