逃げるリスク

「痴漢で捕まりそうになったら逃げろ」という考え方があります。
それは、痴漢で捕まったら長期拘留されて人生を棒に振ると思われているからです。
しかしながら、逃げる場合にはそれ相応のリスクが伴います。
無我夢中で逃げ出すわけですので、人混みを掻き分けたり道路に飛び出したりと、安易に危険は想像できます。
自分だけでなく、追手や通行人を突飛ばしたりすれば暴行罪等の新たな罪が加わってしまいます。
その場はなんとか逃げることができたとしても、後日身元を特定されて逮捕される可能性が残ります。
公共交通機関であればICカードからも個人情報がわかりますし、街中の至るところに防犯カメラが設置されています。
うまく逃げきれたつもりでも、ある日突然家族の前や職場で逮捕されてしまうかもしれません。
痴漢の時効は、強制わいせつ罪であれば7年、迷惑行為防止条例違反であれば3年です。
時効が完成するまでは、落ち着かない日々を過ごすことになります。
また、逃げた場合の最大のリスクは、逮捕された後にあります。
逮捕された場合には、一日も早い釈放や保釈を目指します。
しかし、逮捕時に逃亡を図った事実があると「今後も逃亡や証拠隠滅の恐れがある」と推測されて身柄拘束が続く可能性があります。
同じような痴漢行為でも、
- 不起訴処分に終わる場合
- 罰金刑を受ける場合
- 執行猶予になる場合
- 刑務所に入る場合
と最終的に下される判決は様々です。
どんな刑罰を与えるかは犯した犯罪の内容はもちろんですが、本人が深く反省していれば情状酌量の余地はあるとして罪が減軽される可能性があります。
自首した場合には罪が減軽されますが、逃亡を図った場合にはその逆で心証が悪くなるため、通常よりも重い罪を課せられる可能性があります。
痴漢現場から逃亡を図った場合には、被害者の感情を逆なでしている可能性があります。
そのような状態では、当然示談交渉は難航します。
示談交渉に応じてもらえなかったり、示談金が高額になる可能性を覚悟しなければいけません。
示談交渉がまとまらず、被害者が厳重な処罰を求めているとなればやはり実刑が下る可能性が高くなってしまいます。