執行猶予期間中に逮捕されたら、示談を成立させて不起訴処分を目指すことが重要です。

執行猶予とその取り消し

まず執行猶予とは、「執行猶予期間中に罪を犯さず平穏に暮らしていれば、刑の言い渡しはなかったことになる」という制度です。

例えば「懲役2年執行猶予3年」の言い渡しを受けた場合には、刑務所に入ることなく社会生活を始めることができます。
3年間は執行猶予期間中ですが、旅行や引っ越しなど生活に制限はありません。
無事に執行猶予期間を終えれば、懲役2年は執行されることはありません。
実刑を受けずに済むわけです。

しかし、執行猶予付きの判決も、有罪判決には変わりありません
前科になるため、再び犯罪を犯した場合には再犯として初犯よりも重い罪が課せられます。

では、執行猶予期間中に逮捕されてしまった場合はどうなるのでしょうか?

刑法26条に定められていますが、執行猶予期間中に再び犯罪を犯して禁固以上の刑に処せられた時には、執行猶予が取り消されます

先ほどの例で言うと、猶予されていた懲役2年が実行されます。
懲役2年プラス再犯で言い渡される禁固又は懲役の年数分、刑務所に入ることになります。

ちなみに、犯した罪の内容は執行猶予の取り消しとは関係ありません
「痴漢→痴漢」の場合はもちろん、「窃盗→痴漢」の場合でも、執行猶予は取り消されます。

ポイントは「再犯が禁固以上の刑」である場合に執行猶予が取り消されるという点です。

つまり、執行猶予期間中に逮捕されても不起訴や罰金刑で済めば、執行猶予は取り消されません。
また、再犯の罪が再び執行猶予付きになる可能性もありますが、こちらは限られた条件の場合のみです。

執行猶予期間中に痴漢で逮捕されてしまった場合には、示談を成立させて不起訴処分を目指すことが重要です。

いったん起訴されてしまうと、再び執行猶予になる可能性は0に近く、罰金刑で済むかどうかは判決次第です。
禁固や懲役に課せられると、犯してしまった痴漢で罰せられるだけでなく、猶予を受けていた前の犯罪の刑罰も受けなければなりません。

執行猶予中に逮捕されてしまったときには、一刻も早く専門家に相談し示談を成立させることをおすすめします。

また、痴漢の執行猶予期間中にまた痴漢を犯してしまった場合には、心療内科にかかった方が良いでしょう。

執行猶予期間が終わるまでは気をつけなければいけない、と肝に銘じていた筈です。
それにも関わらず再び痴漢行為をしてしまったという事実を軽く捕らえてはいけません。

2度ならず3度4度とくり返し痴漢常習者になってしまう可能性があります。
一度カウセリングを受け、更生を計る機会です。