逮捕後の流れ
痴漢で逮捕されると、一般的な刑事事件と同じ流れをたどります。
電車内や駅で痴漢として捕まえられた場合の流れを見てみましょう。
電車内や駅のホームで取り抑えられた場合、まずは駅長室に連れて行かれます。
「人違いだ。」「やってない。」などの主張をしても「駅長室で詳しい話を聞きましょう。」となります。
痴漢行為があったらしいと駅員が判断すれば、警察に連絡がいきます。

警察官の到着をまって警察署に移動します。
ここから警察官による取り調べが始まります。
痴漢行為を行なった際に被害者の繊維が被疑者の手に付着していないか、粘着テープ等を使って繊維の採取が行なわれることもあります。
取り調べ中には「調書」が作成されます。
取り調べが終わると、調書に署名し指印を押すように言われます。
この時には調書の内容をよく確認し、違いがない場合だけ署名指印をするようにして下さい。
もし調書の内容に事実と異なるところがある場合には訂正を求めたり、署名指印を拒否することもできます。
いったん署名指印をしてしまうと、その調書内容を本人が認めたことになり、後から覆すのが難しくなってしまいます。
警察官は逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄を検察庁に送るかどうかを決めなければなりません。
通常は逮捕の翌日に検察庁に送致されます。
検察官が被疑者と面談して取り調べ、24時間以内に被疑者を勾留するかどうかを決めます。
「証拠隠滅の恐れ」や「逃亡の恐れ」がある場合には勾留することになっていますが、ほとんどの場合勾留されます。
特に痴漢行為を否認している場合には、ほぼ100%勾留されてしまいます。
最初の勾留期間は最大10日間ですが、
この間に示談の成立等不起訴への働きかけがなければ、さらに10日間勾留延長が申請されます。
最大20日間の勾留期間が終わるまでに、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。
起訴されると「被疑者」から「被告人」という立場になります。
また、「不起訴」になった場合でも無実が証明されたとは限りません。
不起訴の中にも「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類があります。
- 「嫌疑なし」:無実が認められた
- 「嫌疑不十分」:グレーではあるが証拠不十分などの理由で起訴するに至らなかった場合
- 「起訴猶予」:示談の成立・初犯であること・深く反省していること等を理由に、検察官が裁量により起訴しないことを決めた場合
いずれの場合も不起訴となると釈放されて前科はつきません。
起訴されると裁判が始まります。
裁判には「略式命令」と「公判請求」の2種類があります。
初犯の痴漢行為を「迷惑行為防止条例違反」で罰する場合には、略式命令で判決を下す場合が多くみられます。
書面審理のため被告人が法廷に立つ必要はありません。
罰金刑が言い渡され、罰金を納付すれば釈放されます。
なお略式命令に異議がある場合には、正式裁判の請求をすることが出来ます。
裁判が終わるまで被疑者は留置場や拘置所で過ごします。
数ヶ月~1年以上身柄の拘束が続く場合があります。
身柄の拘束を解く為には「保釈請求」をして認められる必要があります。