前科になるの?

まず、前科とは法律用語ではありません。
一般的に前科とは「有罪の確定判決で刑の言い渡しを受けたこと」を指します。
前科というと刑務所に服役していたイメージが浮かびますが、懲役刑だけでなく罰金刑、執行猶予の場合も前科になります。迷惑防止条例違反の場合には、略式起訴され書面のみで罰金刑が言い渡されることがありますが、この場合も前科になります。
不起訴処分になった場合、無罪判決が確定した場合には、前科はつきません。
実際に痴漢行為を行ない、それを認めていても示談成立等の理由で起訴猶予になった場合も、前科にはなりません。
冤罪逮捕された場合、「罪を認めればすぐに釈放されるし罰金や執行猶予で済む」と言われますが、やってもいない痴漢を認めれば前科がつくことを忘れてはいけません。
また、示談金を支払って不起訴処分を目指すよりも、罰金刑を受けた方が支払うお金は少なくて済むと思うかもしれません。
しかし、目先の利益を優先すると、後々前科のデメリットに苦しむことになる可能性があります。
前科の記録は、公的には地方自治体の犯罪人名簿と検察庁の記録に登録されます。一般の方は見ることの出来ないものなので、ここから前科がバレることはありません。
しかし、近隣で性犯罪が起こった場合に捜査対象となったり、他の罪を犯したときに前科があることを理由に罪が重くなることがあります。
履歴書には「賞罰」の欄があります。
この「罰」とは「確定した有罪判決」を指すので、前科があれば記載することになります。
黙っていればバレないかもしれませんが、前科があるのに「賞罰なし」と記載するのは虚偽申告や経歴詐称にあたります。
賞罰の欄のない履歴書もありますが、厳密に言えば自分で欄を追加してでも前科があることを申告しなければなりません。
前科を隠して就職した場合には、後にバレた時に虚偽申告や経歴詐称を理由に解雇される可能性があります。
就職中に前科を受けた場合にも解雇される場合があります。
各会社の内部規定によりますが、
- 有罪判決を受けたとき
- 会社の名誉を傷つけたとき
- 会社に不利益を与える言動をしたとき
などが懲戒事由として規定されていて、罰金や執行猶予であっても懲戒事由に当たる可能性があるからです。
入国審査カードには犯罪歴を記載する欄があります。
前科者の入国への対応は各国によって異なりますが、アメリカの場合は犯罪歴があれば旅行でもビザを取得する必要があります。
個人的な旅行の場合であれば入国を拒否されることはないと考えられますが、国によりビザ取得などの手間がかかります。
渡航がわかっている場合には予め大使館に問い合わせておく方が良いでしょう。
一番問題となるのは、就労ビザを取得する場合です。
「無犯罪証明書」の提出が必要になるケースが多いため、罰金刑から5年、執行猶予であれば執行猶予期間が終わるまで就労ビザは取れません。